月別アーカイブ: 2025年6月

新菱工機のよもやま話~未来~

皆さんこんにちは!

 

新菱工機、更新担当の中西です。

 

 

 

エレベーター据付工事の未来

──AI・自動化・ユニバーサル社会を支える次世代の“昇降革命”


今回は「エレベーター据付工事の未来像」について、施工技術、社会ニーズ、テクノロジーの進化という3つの視点から一般的な市場での例を基に展望をお届けします。


◆ 未来①:施工現場は“人手”から“自動化・ロボット支援”へ

 

📦 資材搬入の無人化

  • 昇降機のレール、カゴ、制御装置などは重量物が多く、従来は人力と揚重設備の組み合わせでした。

  • これからはAGV(自動搬送台車)やロボティクスアームによる自動搬入が現実に。

 

🔧 組立作業のロボット化

  • 特に垂直レールの高所設置やガイドローラの調整は、安全面での課題が多く、
     → AI支援によるレール位置自動補正・ボルト締付けロボットの開発が進行中です。


◆ 未来②:遠隔点検・メンテナンスの実用化

 

  • 現在でもIoT化された機種では、昇降回数・動作エラー・停電履歴をクラウドで管理できます。

  • 将来的には、「据付後の点検・試運転を遠隔で実施」できるスマート管理へ。

加えて、施工中の状態(傾き・通電・ブレーキ作動)をセンサーで常時監視しながら据付する時代が訪れつつあります。


◆ 未来③:高齢社会に対応する“人に寄り添う昇降設備”

 

  • 音声案内+手話表示

  • スマートフォン連携による乗車予約・階指定

  • 認知症対応エレベーター(目的階の間違いをAIが検知し、案内する)

  • 車いす+介助者が同時にゆとりを持って乗れるカゴ寸法や横開きドア・自動保持機能の普及

こうしたユニバーサルデザイン対応の据付工事が今後ますます標準化されていきます。


◆ 未来④:カーボンニュートラル建築との一体化

 

  • エレベーターそのもののCO₂排出量を“ゼロ化”する製品開発

  • 回生電力の再利用+再生可能エネルギーと連動する昇降制御システム

  • エレベーター据付工事も、ZEBやLCCO2(ライフサイクルCO₂)管理の一環として評価される時代へ

建築と一体となったエコロジカル・エレベーター設計&施工が、設計段階から求められています。


◆ まとめ:“移動”ではなく“機能空間”としてのエレベーターへ

 

エレベーターは単なる“乗り物”ではなく、
未来においては「快適・安心・環境・健康を運ぶスペース」として再定義されつつあります。

  • 静かに据えて、長く使い、メンテナンスはスマートに

  • 人と街とビルの未来を“縦”につなぐインフラへ

私たち据付業者も、建物の価値を支える最後の仕上げ職人として、技術と心を込めてこれからの施工に向き合ってまいります。

次回もお楽しみに!

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新菱工機のよもやま話~環境~

皆さんこんにちは!

 

新菱工機、更新担当の中西です。

 

 

エレベーター据付工事と環境への配慮

──静かに、そして確実に行われる“垂直輸送設備”の環境責任


今回は、「エレベーター据付工事の環境への影響とその配慮」をテーマにお届けします。

私たちが日々手がけるエレベーター設置・更新工事は、単なる“機械の取り付け”ではありません。
現代社会では、“安全性”だけでなく“環境負荷を最小限に抑える施工”が大きな責任となっています。


◆ エレベーター設置工事が環境に与える影響とは?

 

エレベーターはビルやマンションにとって不可欠なインフラですが、据付工事の段階では以下のような環境課題と向き合う必要があります。


① 騒音・振動による生活環境への影響

  • エレベーターシャフト内でのアンカー打設やレール固定作業では、金属音や打撃音が発生

  • 特に既存建物での更新工事は、居住者やテナントがいる状態で施工するため、周辺への騒音・振動対策が必須です。

 

対応策:

  • 静音ドリルや低振動ハンマーの使用

  • 作業時間を限定した施工計画の立案(昼間・短時間集中)


② 廃材・産業廃棄物の排出

  • 解体した古い昇降機からは、金属部材、モーター、ケーブル、制御盤、油圧部品などが排出されます。

  • PCB含有コンデンサや鉛バッテリーなど、特別管理産業廃棄物が含まれる場合もあり、厳重な分別・回収が必要です。

 

対応策:

  • 指定業者による分別解体・マニフェスト管理

  • リユース部品の回収(リモート点検盤など)


③ 消費エネルギーとカーボンフットプリント

  • エレベーター本体の製造、搬送、設置に至るまでのトータルエネルギー消費量も無視できません。

  • 大型施設では10台以上の機器を同時に据付けるケースもあり、搬入車両・電源使用・溶接作業に伴うCO₂排出量が増大します。

 

対応策:

  • 工場プレアッセンブリ化(現場作業を減らす)

  • 電動工具のバッテリー共有による発電機使用の削減

  • 現場における消費電力のモニタリング


◆ エレベーターそのものの“環境性能”にも注目

 

据付工事だけでなく、設置後の使用期間におけるエネルギー効率も重要な環境指標です。

  • 回生システム付きエレベーター(昇降時の運動エネルギーを再利用)

  • インバーター制御による省電力駆動

  • 待機時自動停止/LED照明など、常時稼働を前提とした省エネ化


◆ 建物の省エネ性能と一体化する“垂直移動設備”

 

近年では、ZEB(ゼロ・エネルギー・ビル)の実現に向けて、エレベーターも建築設備の一部として環境性能が求められる時代です。

  • 国交省の「建築物省エネ法」対象施設では、エレベーターのエネルギー性能表示が求められることも。

  • ビル全体のBEMS(ビルエネルギー管理システム)と接続し、**稼働状況に応じた制御(間引き運転など)**が可能に。


◆ まとめ:エレベーター施工も“脱炭素”の一翼を担う

 

高層化、都市化が進む現代において、垂直移動インフラの環境配慮はもはや“選択”ではなく“責務”です。

設計・搬入・施工・運用すべてにおいて、
静かに据えて、長く動かし、環境を守る
これこそが、現代のエレベーター施工業者の使命です。

次回もお楽しみに!

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