月別アーカイブ: 2025年5月

新菱工機のよもやま話~鉄則~

皆さんこんにちは!

 

新菱工機、更新担当の中西です。

 

 

エレベーター据付工事の鉄則 ~安全と精度を守る現場の哲学~


今回は、エレベーター据付工事の現場で実際に大切にされている**「5つの鉄則」**について詳しく解説します。

エレベーターの据付は、見た目は地味でも、ほんの数ミリのズレが命に関わる超精密な工事です。だからこそ、**一つ一つの作業に妥協しない“現場の掟”**があります。


⚙️ 鉄則①:最初の「水平・垂直」確認は命より重い

 

エレベーターシャフト内に設置するガイドレールや機器類は、ミリ単位の水平・垂直誤差すら許されない世界。

  • 据付前にレーザー墨出し器や精密測定器で軸心を確認

  • わずかな傾きでも、かごの振れや異音、停止不良の原因になる

  • 一番最初の“芯出し作業”は絶対に複数人でダブルチェック

 

この工程を怠ると、以後のすべての作業に歪みが出てしまうため、据付工事の中で最も慎重に行われます。


🧯 鉄則②:安全帯・落下防止措置は“当たり前”

 

エレベーター工事は、シャフト(昇降路)という垂直空間での作業が中心です。高所作業に加え、暗所・狭所での作業も多く、転落事故や接触事故のリスクが高い現場となります。

  • 高所作業は必ずフルハーネス型安全帯+ランヤード固定

  • シャフト内では落下物防止ネットや工具ベルトを装着

  • 1階〜最上階までの転落養生と連絡体制を整える

 

安全を守るのは、自分の命だけでなく、仲間や利用者の命も守る行動なのです。


🛠️ 鉄則③:各工程の「確認→記録→報告」の3ステップを徹底せよ

 

据付作業は、複数の職種・業者が連携する分業型の現場です。

  • ガイドレール設置 → 電源接続 → かご吊り下げ → 試運転

  • 各工程で仕様通りに設置されたかを確認・記録し、担当責任者へ報告

  • 問題があれば、その場で作業停止→再調整が原則

 

この「報・連・相」の積み重ねこそが、不具合ゼロ・事故ゼロの据付を実現するカギです。


🔌 鉄則④:電気設備と制御盤の施工は“見えない美しさ”を追求せよ

 

エレベーターの心臓部ともいえる制御盤や配線作業は、見た目には表れない繊細な仕事です。

  • 電源線・制御線・緊急通信線を配線ルート通りに整理整頓

  • 電気ノイズ防止のために、アース線の接続・絶縁処理も徹底

  • すべてのケーブルに表示ラベル・確認票の記載

 

「誰が見ても、どこを触っても、安全にわかる」状態が、プロの証です。


✅ 鉄則⑤:引き渡し前の“最終試験”は一切の妥協を許さない

 

すべての据付作業が完了したあと、いよいよ試運転と最終検査に入ります。

  • 無負荷・負荷試験(荷物を載せて昇降テスト)

  • 非常停止装置・地震センサーの動作確認

  • 自動階数制御・緊急時のアナウンス動作・通信テスト

 

この段階で問題が出れば、再調整→再試験となり、合格するまで絶対に運用許可は下りません
つまり、「安心して乗ってもらえるか」を最後に保証するのが据付工の責任です。


✨まとめ:エレベーター据付工事は「信頼を積み重ねる仕事」

 

1ミリのズレも許さない。
1つの手順も省略しない。
それが、命を預かる昇降機を扱うプロの流儀です。

エレベーター据付工事とは、ただ機械を取り付ける仕事ではなく、安心・安全・快適という「見えない信頼」を積み重ねる仕事
そのために、私たちは日々、**技術と誇りを胸に現場に向き合っているのです。

次回もお楽しみに!

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新菱工機のよもやま話~歴史~

皆さんこんにちは!

 

新菱工機、更新担当の中西です。

 

 

エレベーター据付工事の歴史 ~垂直移動の技術が建築を変えた~


今回は、私たちの生活に欠かせない**「エレベーター」**の据付工事が、どのように誕生し、どのように発展してきたのかという「歴史の視点」から掘り下げてご紹介します。

高層ビルや集合住宅、商業施設や病院など、あらゆる建物で活躍しているエレベーター。実はこの設備、建築物の形そのものを変えてしまうほどのインパクトを持った発明だったのです。


1. 古代から始まる「人と荷の垂直移動」への挑戦

 

人類は古くから、重い物を高い場所へ運ぶ工夫を重ねてきました。
古代ローマ時代の文献には、滑車と人力によって荷を持ち上げた「原始的な昇降機」の記録が残されています。

中世の城や修道院では、ロープでつるした籠を手で引き上げて物資を運ぶ仕組みが使われていましたが、人が安全に乗るための昇降装置の登場は、近代以降の話になります。


2. 安全装置の発明が「実用化」を後押し

 

1852年、アメリカのエリシャ・オーチスが「落下防止装置付き昇降機」を発明。
この装置が公開実演され、落下しないエレベーター=安全な昇降機が登場したことで、ビルへの実用化が一気に進みました。

  • 1857年:世界初の乗用エレベーターがニューヨークの百貨店に設置

  • 1870年代:蒸気駆動から水圧、そして電動モーター式へと移行

  • 1900年代:電気制御技術が進化し、自動ドアや多層制御方式が登場

 

ここからエレベーターは、都市建築を“縦方向”に拡張するインフラとして、無くてはならない設備になりました。


3. 日本におけるエレベーターの導入と発展

 

日本で初めてエレベーターが導入されたのは、1890年に東京・浅草の「凌雲閣(りょううんかく)」に設置された蒸気式昇降機。
ただし当時はまだ珍しい存在で、一般的に普及するのは昭和中期(高度経済成長期)以降です。

  • 1960〜1970年代:団地・商業ビル・ホテルの建設ブームとともに普及

  • 1980年代:高層ビルの林立と、エレベーター据付業者の高度専門化

  • 2000年代以降:地震対策・バリアフリー対応・省エネ型のモデルへ進化

 

建築とエレベーターは、まさに切っても切り離せないパートナー関係にあるのです。


4. 現代の据付工事は「建築と機械の融合技術」

 

エレベーターの据付工事は、建物の完成を支える“最後の仕上げ”であり、同時に高精度が求められる機械組立の専門工事です。

  • シャフト内での精密なガイドレール設置

  • 吊りワイヤーと昇降機本体(かご・カウンターウェイト)の設置

  • 各階停止位置の設定と安全装置の確認

  • 電気配線・制御盤の組み込み作業

 

据付は数日〜数週間かけて行われ、完了後には法定検査と性能試験をクリアしないと運行開始できないという厳しい基準もあります。


✨まとめ:エレベーター据付工事は「縦に伸びる社会」を支えてきた仕事

 

私たちが当たり前のように利用しているエレベーター。その裏には、人類の垂直移動への挑戦の歴史と、時代ごとの技術革新があります。
そして現代では、「誰でも、安心して、快適に使える昇降機」を支えるための据付技術のプロフェッショナルたちが活躍しているのです。

次回は、そんな現場で今日まで守られてきた「エレベーター据付工事の鉄則」についてご紹介します!

次回もお楽しみに!

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