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新菱工機のよもやま話~歴史~

皆さんこんにちは!

 

新菱工機、更新担当の中西です。

 

 

エレベーター据付工事の歴史 ~垂直移動の技術が建築を変えた~


今回は、私たちの生活に欠かせない**「エレベーター」**の据付工事が、どのように誕生し、どのように発展してきたのかという「歴史の視点」から掘り下げてご紹介します。

高層ビルや集合住宅、商業施設や病院など、あらゆる建物で活躍しているエレベーター。実はこの設備、建築物の形そのものを変えてしまうほどのインパクトを持った発明だったのです。


1. 古代から始まる「人と荷の垂直移動」への挑戦

 

人類は古くから、重い物を高い場所へ運ぶ工夫を重ねてきました。
古代ローマ時代の文献には、滑車と人力によって荷を持ち上げた「原始的な昇降機」の記録が残されています。

中世の城や修道院では、ロープでつるした籠を手で引き上げて物資を運ぶ仕組みが使われていましたが、人が安全に乗るための昇降装置の登場は、近代以降の話になります。


2. 安全装置の発明が「実用化」を後押し

 

1852年、アメリカのエリシャ・オーチスが「落下防止装置付き昇降機」を発明。
この装置が公開実演され、落下しないエレベーター=安全な昇降機が登場したことで、ビルへの実用化が一気に進みました。

  • 1857年:世界初の乗用エレベーターがニューヨークの百貨店に設置

  • 1870年代:蒸気駆動から水圧、そして電動モーター式へと移行

  • 1900年代:電気制御技術が進化し、自動ドアや多層制御方式が登場

 

ここからエレベーターは、都市建築を“縦方向”に拡張するインフラとして、無くてはならない設備になりました。


3. 日本におけるエレベーターの導入と発展

 

日本で初めてエレベーターが導入されたのは、1890年に東京・浅草の「凌雲閣(りょううんかく)」に設置された蒸気式昇降機。
ただし当時はまだ珍しい存在で、一般的に普及するのは昭和中期(高度経済成長期)以降です。

  • 1960〜1970年代:団地・商業ビル・ホテルの建設ブームとともに普及

  • 1980年代:高層ビルの林立と、エレベーター据付業者の高度専門化

  • 2000年代以降:地震対策・バリアフリー対応・省エネ型のモデルへ進化

 

建築とエレベーターは、まさに切っても切り離せないパートナー関係にあるのです。


4. 現代の据付工事は「建築と機械の融合技術」

 

エレベーターの据付工事は、建物の完成を支える“最後の仕上げ”であり、同時に高精度が求められる機械組立の専門工事です。

  • シャフト内での精密なガイドレール設置

  • 吊りワイヤーと昇降機本体(かご・カウンターウェイト)の設置

  • 各階停止位置の設定と安全装置の確認

  • 電気配線・制御盤の組み込み作業

 

据付は数日〜数週間かけて行われ、完了後には法定検査と性能試験をクリアしないと運行開始できないという厳しい基準もあります。


✨まとめ:エレベーター据付工事は「縦に伸びる社会」を支えてきた仕事

 

私たちが当たり前のように利用しているエレベーター。その裏には、人類の垂直移動への挑戦の歴史と、時代ごとの技術革新があります。
そして現代では、「誰でも、安心して、快適に使える昇降機」を支えるための据付技術のプロフェッショナルたちが活躍しているのです。

次回は、そんな現場で今日まで守られてきた「エレベーター据付工事の鉄則」についてご紹介します!

次回もお楽しみに!

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新菱工機のよもやま話~設計~

皆さんこんにちは!

新菱工機の更新担当の中西です。

 

さて今回は

~設計~

ということで、エレベーター据付工事における設計のポイントを、現場視点と法的背景の両方から詳しく解説します。

 

エレベーター据付工事における設計の重要性とは?

高層化・複雑化が進む建築物において、エレベーターは今や欠かせない「縦のインフラ」です。
その据付工事の品質・安全・機能を左右する最も重要な工程が、設計段階です。

エレベーターの設計は、単に「箱を上下させる仕組み」ではなく、建築・機械・電気・法令・利用者安全のあらゆる要素が交錯する極めて専門的な領域です。


✅ そもそも「エレベーター設計」とは?

エレベーターの設計は、次の3つの要素で構成されます

分類 設計内容の例
建築設計 昇降路の大きさ・階高・開口部・ピット・マシンルームなどの寸法・構造
機械設計 駆動方式(ロープ式・油圧式)、制動装置、定格速度・積載荷重など
電気設計 制御盤配置、通信用配線、呼び出し装置・照明・非常用電源の仕様

✅ 建築設計との連携がカギ

エレベーターの設計は建築設計と完全にリンクして進める必要があります。
以下のような要素は、事前に十分な協議が必須です。

🔹 昇降路(シャフト)の寸法と精度

  • 有効内寸(幅×奥行)により対応できるエレベーターの機種が限定される

  • 機器据付に必要なクリアランス(余裕寸法)も確保が必要

  • 間違った寸法設計は、後からの手直しが極めて困難

🔹 ピット・マシンルームの設計

  • 最下階のピット(最低1.2~1.5m程度)が必要

  • マシンルーム式の場合は、屋上または最上階に機械室が必要(天井高さ・開口部の確保)

  • 機械室レスタイプ(MRL)も増加中 ⇒ 省スペースだが仕様に制約あり


✅ 機械設計:用途に応じた仕様選定が肝心

🔸 駆動方式と性能

  • ロープ式(巻上機式):高層ビル向け、静音性・スムーズな昇降

  • 油圧式:低層建物向け、設置が比較的容易

  • MRL(マシンルームレス):近年主流、省エネ・スペース削減

🔸 定格荷重・定員・速度

  • 荷物用/乗用/寝台用など、使用目的に応じた容量と速度を設定

  • 法令上、用途に応じた制限速度と構造要件あり


✅ 電気設計:制御と安全の司令塔

エレベーターは、精密な電気制御システムにより安全運行を実現しています。

🔸 主な電気設計要素

  • 主制御盤・インバーター・操作パネル・通信用配線

  • 呼び出しボタン・液晶表示・音声案内などのUI設計

  • 停電時の非常電源(バッテリー/発電機)との接続設計

  • 火災報知・非常用通話(管理室連動)との設備連携


✅ 法令・安全基準への適合も重要

エレベーターの設計には、以下のような法令・基準の遵守が求められます。

法令・基準 主な内容
建築基準法 構造・防火・出入口の有効幅など
労働安全衛生法(昇降機構造規格) 定期検査・巻上機の性能・非常用装置など
日本エレベーター協会基準(JEA) 安全装置・避難対応の標準化
JIS規格 材料品質・電気部品・操作部の設計指針

👉設計段階でこれらに合致していないと、完成後の検査不合格につながる重大リスクとなります。


✅ 設計段階で見落としがちな注意点

項目 解説
防水対策 ピット・機械室の雨水侵入リスク対策
換気・空調 マシンルームやかご内の熱対策を忘れずに
工事中通路確保 据付作業に必要な重機・搬入スペースの計画
メンテナンス性 点検口、作業スペースの確保は将来に影響大

✅ まとめ:エレベーター設計は“安全・機能・未来”を描く仕事

エレベーター据付工事の成否は、設計段階の精度と情報共有の質にかかっています。

  • 建築構造との整合性

  • 用途に応じた機器仕様の選定

  • 電気系統の接続・制御設計

  • 法令・安全基準の完全な遵守

これらを網羅的に把握し、利用者の安全と快適性、施工性とメンテナンス性まで配慮した設計が求められます。

設計とは、「完成後の未来を先に見ること」。
エレベーターという建築設備の“要”を担う設計者こそ、安全と利便性をつなぐ見えない設計士なのです。

 

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新菱工機のよもやま話~確認事項~

皆さんこんにちは!

新菱工機の更新担当の中西です。

 

さて今回は

~確認事項~

ということで、エレベーター据付工事における事前確認事項のポイントを、実務の流れに沿って深く解説します

 

「動いて当たり前」を実現するために、見えない準備がカギ

エレベーターは、高層化が進む現代建築に欠かせない縦の移動インフラです。
中でも据付工事は、高所作業・重量機器・電気制御が複雑に絡む高度な専門工事であり、
施工後のトラブルや手戻りを防ぐためにも、事前確認が極めて重要となります。


✅ エレベーター据付工事とは?

エレベーター据付工事とは、建築物に新たにエレベーターを設置する工事であり、
次のような工程を含みます

  • 鉄骨レールの取り付け

  • 吊りワイヤ・カウンターウェイトの設置

  • 制御盤・ドア・呼びボタンの取り付け

  • 動作確認・安全試験・法令に基づく検査

これらは建築・電気・機械の要素が密接に絡むため、関係業種との連携と準備が不可欠です。


✅ 事前確認①:建築工事との整合性チェック

🔹 建築側の工事進捗・受け入れ体制

  • 昇降路(シャフト)内の清掃状態・養生

  • 電源(仮設/本設)の通電状況

  • ピット(最下部)・マシンルーム(機械室)の仕上がり確認

  • 建物の水平・垂直精度(レベル出しの基準)

👉Point: 建築側で未完了の部分があると、据付作業が遅延・中断する可能性があります。


✅ 事前確認②:図面と設計仕様の最終確認

🔹 設計図と実際の構造との照合

  • 図面に基づいた昇降路寸法・開口部の確認

  • 機種・積載荷重・停止階数・操作パネルの仕様が合っているか

  • 納品機器と現場寸法の“実測比較”(干渉・寸法誤差の事前発見)

🔹 特殊仕様の有無

  • 車いす対応・防災対応(耐震・火災時管制)などの確認

  • デザイン仕上げ材(ステンレス/化粧シート等)との整合性


✅ 事前確認③:安全対策と作業環境の整備

🔹 作業者の安全確保

  • 昇降路内の墜落防止設備(手すり・ロープ等)の設置確認

  • 安全帯・ヘルメット・無線等の支給状況

  • 養生・立入制限の表示(第三者の転落・接触を防止)

🔹 重量機器の搬入ルート

  • ウインチ・チェーンブロックの設置計画

  • 重量物(巻上機・カウンターウェイト等)の搬入方法と安全確認

  • 通路・仮設床の耐荷重チェック


✅ 事前確認④:電気工事との連携確認

🔹 通電・制御関連

  • 電源容量・分岐盤の位置確認

  • アース接続位置・制御盤スペースの確保

  • 消防設備・インターホンとの連動配線の有無確認

🔹 本設電源の引き込みタイミング

  • 通電の予定日が据付工事と整合しているか

  • 試運転や動作確認の前に仮設で済むかどうかの判断


✅ 事前確認⑤:関係者との工程・情報共有

🔹 工程表のすり合わせ

  • 建築/設備/内装との干渉防止と作業分担の調整

  • 段階的な資材搬入スケジュールの確認

  • 雨天・突発対応の想定含めた柔軟な工程設定

🔹 通信・共用設備との関係整理

  • 呼び出しボタン・カメラ・インターホンとの連携確認

  • 非常時通報システムの受信先(管理人室・警備会社等)の確認


✅ エレベーター据付は「事前確認8割、施工2割」

エレベーターは、建物完成後に長期間使い続けられる重要な設備です。
そのため、「とりあえず設置する」では済まされません。

  • 安全性

  • 設備機能の正確な実装

  • 他工種との整合性

  • 法令・検査対応の万全化

これらはすべて、施工前の段階で“確認し尽くしておく”ことが必要条件です。

エレベーターが「当たり前に動く」建物は、
現場の見えない準備とプロの連携によって支えられているのです。

 

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