エレベーター据付工事の歴史～垂直移動の技術が建築を変えた～

今回は、私たちの生活に欠かせない**「エレベーター」**の据付工事が、どのように誕生し、どのように発展してきたのかという「歴史の視点」から掘り下げてご紹介します。

高層ビルや集合住宅、商業施設や病院など、あらゆる建物で活躍しているエレベーター。実はこの設備、建築物の形そのものを変えてしまうほどのインパクトを持った発明だったのです。

人類は古くから、重い物を高い場所へ運ぶ工夫を重ねてきました。
古代ローマ時代の文献には、滑車と人力によって荷を持ち上げた「原始的な昇降機」の記録が残されています。

中世の城や修道院では、ロープでつるした籠を手で引き上げて物資を運ぶ仕組みが使われていましたが、人が安全に乗るための昇降装置の登場は、近代以降の話になります。

1852年、アメリカのエリシャ・オーチスが「落下防止装置付き昇降機」を発明。
この装置が公開実演され、落下しないエレベーター＝安全な昇降機が登場したことで、ビルへの実用化が一気に進みました。

ここからエレベーターは、都市建築を“縦方向”に拡張するインフラとして、無くてはならない設備になりました。

日本で初めてエレベーターが導入されたのは、1890年に東京・浅草の「凌雲閣（りょううんかく）」に設置された蒸気式昇降機。
ただし当時はまだ珍しい存在で、一般的に普及するのは昭和中期（高度経済成長期）以降です。

建築とエレベーターは、まさに切っても切り離せないパートナー関係にあるのです。

エレベーターの据付工事は、建物の完成を支える“最後の仕上げ”であり、同時に高精度が求められる機械組立の専門工事です。

据付は数日〜数週間かけて行われ、完了後には法定検査と性能試験をクリアしないと運行開始できないという厳しい基準もあります。

私たちが当たり前のように利用しているエレベーター。その裏には、人類の垂直移動への挑戦の歴史と、時代ごとの技術革新があります。
そして現代では、「誰でも、安心して、快適に使える昇降機」を支えるための据付技術のプロフェッショナルたちが活躍しているのです。

次回は、そんな現場で今日まで守られてきた「エレベーター据付工事の鉄則」についてご紹介します！

次回もお楽しみに！

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新菱工機のよもやま話～歴史～