皆さんこんにちは!
新菱工機です
目次
エレベーターは、毎日何度も上下し、多くの人や荷物を運んでいます。
マンションやオフィスビルでは、早朝から深夜まで休みなく使用されることもあります。それでも多くの利用者は、機械の状態を意識することなく、当たり前のように乗り降りしています。
この安全で安定した運転を支えているのが、保守点検と故障診断です。
エレベーターは、巻上機、ロープ、ブレーキ、扉、制御盤、センサー、安全装置など、多数の部品から構成されています。
一つの部品に不具合が生じるだけでも、停止、閉じ込め、異音、段差などの問題につながる可能性があります。
点検技術者には、決められた項目を確認するだけでなく、音、振動、におい、摩耗状態などの小さな変化から故障の前兆を読み取る力が求められます😊
今回は、エレベーター工事業における保守点検と故障診断の技術について紹介します。
点検では、最初にエレベーターを実際に運転し、動作を確認します。
発進時や停止時に大きな揺れがないか、走行中に異音や振動がないかを確認します。
各階の停止位置にずれがないか、扉が滑らかに開閉するか、ボタンや表示が正しく作動するかも見ます。
利用者から「最近音が大きくなった」「扉が閉まりにくい」といった申告がある場合は、その症状を再現できるか確認します。
故障が常に発生しているとは限りません。
特定の階だけ、混雑時だけ、気温が低い朝だけ発生する不具合もあります。
利用時間や発生条件を詳しく聞き、原因を絞り込みます🔍
機械室があるエレベーターでは、巻上機、制御盤、電源設備などを点検します。
巻上機から異常な音や振動がないか、油漏れ、過熱、ボルトの緩みなどがないかを確認します。
モーターやブレーキの状態も重要です。
ブレーキは、停止時にかごを確実に保持する装置です。摩耗や調整不良があると、停止位置や安全性へ影響します。
制御盤では、端子の緩み、部品の変色、異臭、ほこりの堆積などを確認します。
電気部品が過熱すると、周辺に変色や焦げたにおいが現れることがあります⚠️
異常がなくても、内部を清掃し、冷却や放熱を妨げるほこりを取り除きます。
エレベーターを支えるロープは、長期間にわたり繰り返し曲げ伸ばしされます。
点検では、ロープ表面の摩耗、素線の切れ、錆、直径の変化などを確認します。
見た目がきれいでも、複数本の張力に差が生じている場合があります。
張力測定器を使用し、負担が均等になっているかを確認します📊
張力差が大きいと、一部のロープや綱車へ負担が集中します。
必要に応じて調整し、交換時期を判断します。
ロープへ過剰な油を塗布すると、綱車との摩擦へ影響する場合があります。適切な管理方法を守ることが重要です。
エレベーターの扉は、利用のたびに開閉するため、特に動作回数が多い部分です。
扉を動かすモーター、ベルト、ローラー、レール、スイッチなどを確認します。
レールにごみや小石が入ると、扉が閉まりにくくなることがあります。
各階の乗場扉も点検し、かごが到着していないときに開かないことを確認します🛡️
扉の開閉速度や閉じる力が適切かを見ます。
強すぎれば利用者が挟まれた際の負担が大きくなり、弱すぎると閉まり切らない場合があります。
人や物を検知するセンサーの範囲も確認します。
汚れによって反応が悪くなることがあるため、センサー面を清掃します🧼
かごとつり合いおもりは、ガイドレールに沿って走行します。
レール表面の状態、接続部、固定金具などを確認します。
ガイド装置の摩耗や調整不良があると、走行中の揺れや音につながります。
レールへ付着した汚れを清掃し、必要な部分には適切な潤滑を行います。
ただし、油を多く塗ればよいわけではありません。余分な油がほこりを集め、周辺を汚すことがあります。
昇降路内は暗く狭い場所もあるため、照明と安全装備を使用し、転落や挟まれを防ぎながら作業します🦺
エレベーターの点検では、かごの上へ乗り、低速で動かしながら昇降路内を確認する場合があります。
かご上には、点検用の操作装置や安全設備があります。
通常運転と点検運転を切り替え、作業者が管理できる低速で動かします。
昇降路内の配線、扉装置、センサー、ガイドレール、固定部などを目視します。
上部の梁や機器との距離を常に確認し、身体や工具が接触しないようにします⚠️
工具には落下防止措置を行い、昇降路下部や乗場へ落とさないようにします。
かご上作業は高い危険を伴うため、作業手順と声掛けを徹底します。
昇降路の最下部にある空間をピットといいます。
ピットには、緩衝器、安全スイッチ、排水設備などがあります。
水がたまっていないか、油漏れや異物がないかを確認します。
地下水や雨水が浸入すると、機器の錆や電気設備の不具合につながります💧
緩衝器は、万一かごやつり合いおもりが最下部へ接近した際に衝撃を和らげる装置です。
外観、固定状態、作動部などを確認します。
ピットへ入る前には、エレベーターが動かないよう安全措置を行い、点検者の存在を明確にします。
狭い場所での作業となるため、出入口や連絡方法も確保します。
エレベーターには、異常を検知して運転を止める安全回路があります。
点検では、安全スイッチやセンサーを確認し、異常時に正しく停止するかを試験します。
扉が開いた状態で運転しないこと、速度や位置に異常がある場合に停止することなどを確認します。
非常停止装置や警報、インターホンなども試します📞
安全装置は普段作動する機会が少ないため、点検によって機能を確認することが重要です。
ただし、試験方法を誤ると危険なため、決められた手順と条件で行います。
目視だけでは確認できない電気的な状態は、測定器を使って調べます。
電圧、電流、抵抗、絶縁状態などを測定し、異常がないかを確認します。
モーターの電流が通常より高い場合、機械的な抵抗や電気部品の異常が考えられます。
センサーやスイッチの信号が制御盤へ正しく届いているかも確認します💻
不具合が発生したときは、制御盤に残されたエラー記録を読み取り、原因を絞り込みます。
エラーコードだけで部品を交換するのではなく、配線、接点、機械動作などを確認します。
同じエラーでも、原因が異なる場合があるためです。
熟練した点検技術者は、エレベーターの音や振動の変化にも注目します。
普段より低い音がする、特定の階で振動する、扉を閉める際に金属音がするなど、小さな変化が故障の前兆になる場合があります。
音が発生する場所、運転方向、速度、荷重条件を確認します。
聴診器のような器具や振動測定器を使い、機器の状態を調べることもあります📈
人の感覚だけに頼らず、数値と比較することで変化を把握しやすくなります。
過去の点検記録と測定値を比較し、少しずつ状態が悪化していないかを確認します。
保守点検では、部品を確認するだけでなく、清掃や給油も行います。
扉レール、機械室、ピット、制御盤周辺などのほこりや異物を取り除きます。
可動部には、指定された潤滑剤を必要な量だけ使用します。
油の種類や量を誤ると、部品を傷めたり、滑りすぎたりする可能性があります。
清掃中に、ボルトの緩みや細かな傷を発見することもあります。
きれいな状態を保つことは、見た目のためだけでなく、異常を早く発見するためにも重要です✨
「夜になると音がする」「三階だけ扉が閉まりにくい」など、利用者や管理者からの情報は故障診断に役立ちます。
点検時に症状が出ない場合でも、発生時間や条件を聞くことで原因を絞れます。
何時ごろ、どの階で、何人くらい乗っていたか、どのような音だったかを確認します。
利用者の表現をそのまま機械的な原因へ置き換えるには、聞き取りの技術も必要です😊
「ガタガタする」という言葉が、扉の音なのか走行振動なのかを詳しく確認します。
点検結果は、日時、確認項目、測定値、交換部品、異常内容などを記録します。
前回と比較し、摩耗や劣化の進行を確認します。
異常が発生してから修理するだけでなく、部品の状態を見ながら計画的に交換することを予防保全といいます。
交換時期を予測できれば、突然の停止や長期休止を減らせます🔄
複数台を管理する建物では、工事時期を分け、利用者への影響を抑えます。
記録は、担当者が変わった場合にも設備状態を引き継ぐ重要な資料です。
エレベーターの保守点検は、決められた部品を見るだけの作業ではありません。
運転状態、音、振動、摩耗、電気信号、利用者の申告など、多くの情報を組み合わせて設備の状態を判断します。
異常が小さいうちに調整や部品交換を行えば、重大な故障や長時間停止を防げる可能性があります。
エレベーター工事業における診断技術とは、壊れた場所を探す力だけではありません。
正常な状態を理解し、わずかな違いから将来の故障を予測する力です。
毎日の安全運転は、利用者の見えないところで行われる丁寧な点検と、技術者の鋭い観察力によって支えられているのです🔍⚙️🏢✨